私の小さいときの話しです。
私はよく父に車で自分の家より少し離れたデパートのレストラン街についれていかれました。
父は本当に優しい人で、そこでアイスクリームをよく買ってくれました。
父といることが好きでした。
しかし、父は女癖が悪く…そのデパートにつれていくのも私の叔母と会うためでした。
私の父は…本当は私の母の妹。
叔母の男であったのにも関わらず、母にちょっかいをだしていたわけです。
私は望んで生まれた子供ではなかったわけです。叔母は大変きれいな人でしたが子供が産めない体でした。
多分、父には非常に都合のいい女性だったのだと思います。
私は…父にもかまってもらえず、母にも暴力をふるわれていました。
何か、きっと私に気持ちを向ける方法があるはずだと…思いつめた私は熱湯を頭からかぶりました。
けがをすれば「大丈夫?」といってくれるものだと思っていたのです。
しかし、結果はそうではありませんでした。私に残ったのは…醜い顔をただれた手足…。
年月が過ぎても私は人から愛されるということを知りませんでした。
私は自信がほしくて自分を捨てました。
自信のついた私は少し男性にも愛されるようになりましたが…その男性は若い女性のほうに流れて行きました。
私は若さがほしくて、年齢を捨てました。
年齢を捨てた私は、片づけるなどという生活全般の行為ができなくなりました。
私は、世話をしてくれるお姉ちゃんをつくることにしました。
お姉ちゃんはなんでもやってくれました。
そしてもう一つ。
年齢を捨てた私は、この醜い傷も捨ててやりました。
やけどの跡は誰かに移って行きました。
その誰かは…いろんな記憶もさらっていきました。
私は非常に楽になりました。
しかし…いざ男性と一緒になると…どうしても気持ちの高ぶりを感じられないのです。
私は母のことを思い出しました…。
そういえば母は…死体と寝ていたなと。
壊れた母の影響なのかは知りません。
私の母は父を殺して寝ていました。
何日も何日も。
寒い冬の日だったので、父は腐ることもなく…。
そんな私は…死体としか眠れなくなりました。
冷たい男が好きなのです。
いつしか、いやなことは全部忘れてくれる誰かが現れました。
その子はよくコーヒーを飲んでいました。
コーヒーを飲むと私もゆっくり落ち着いて眠れました。
いや、眠らされていたのかもしれません。
でも、そのコーヒーが非常に好きでした。
彼のことも、もちろん。
これからドライブにいきます。彼と二人きりで…。
彼女が余計なことをいうようなら、私は彼を始末しなければならないと思います。
私は別に治りたいとかそんなことを望んでいないのです。
今が楽なのです。
美しく自信のある私。それを支える彼女たち。それでいいのです。
ただ…愛されたい。
それだけです。
私の母が壊れたように。私も壊れているんです。とっくの昔に…。
結局、春になっても私は…一人ぼっちです。